夏が過ぎて、蝉が死んだ。
紅葉が色付き、そして枯れる。
聞こえもしない、冬の足音が聞こえた。

風が冷たい。
長いこと切っていない髪を舞わせて歩く帰り道が、なぜだろうか、いつもより寂しい。

そして気付いた。
今はもう感じられない、左手の温もりの存在。