「…離して！」
「嫌だ。お前、逃げるだろーが」
うﾞっ……バレてる。
大人しくなったあたしを見て、陽雄は短い溜め息を吐いた。
「…さっきのメール、何？」
いつもより断然低い陽雄の声。
相当怒っているのが、背中越しに伝わって来る。
「…その、ままだよ」
「…は？お前マジで言ってんの？」
マジだよ。あたしはいたって本気。
陽雄にとったら、あたしなんかにフラれるのムカつくんだろうけど。
「嘘なんか吐かない。
誰かさんみたいに、適当に付き合ってるんじゃないから。……もう、辛すぎて耐えられない」
涙を堪え、言葉を紡ぐ。
怒られるのは覚悟していた。けれど、返って来たのは予想外の言葉だった。
「……ごめん」
……………え。
