一瞬躊躇ったけれど、手が勝手に動き、通話に出てしまっていた。
「…もしもし?」
《小野…?! 今どこに居る!?》
「えっ……」
何?急に……。
珍しく取り乱してる陽雄に圧倒されつつ、あたしは答えた。
「…屋上、だけど」
《屋上だな!?ぜってーそこ動くなよ!!》
「えっ…!?ちょっとおきっ…」
―――プツッ。ツーツーツー…
……切られた。
無機質な機械音が流れ、あたしはボーッと空を見上げた。
『ぜってーそこ動くなよ!!』
………ん?
ちょっと待って。
この言い方って……。
ここに、来るってことじゃない!?
うそっ……逃げなきゃ!
さっきまで遠くにあった意識を取り戻し、慌てて立ち上がり屋上を飛び出した。
階段を駆け降りて、角を曲がったその時。