あの時の陽雄の手の平の温かさは、今でも覚えてる。


あれが、唯一の恋人らしかった思い出。



…あーあ、あたしまだこんなに好きなんじゃん。


別れたこと、もう後悔してる。
まさに馬鹿。


けど、やっぱり無理なんだ。
我慢出来ない。辛いの。


陽雄を好きだから、好きすぎるから。
あたしだけを見てくれないの、耐えられない。


結局、あたしは弱いだけなんだ……。



「…陽雄…」


膝を抱え、顔を伏せて呟くと。
まるで声が届いたかのように、携帯が震えた。


~♪~♪♪~♪


表示を見なくても分かる。
この着信音は、……陽雄。