付き合って、もうすぐ1年。


全然、恋人らしくない1年だった。


唯一恋人らしかった思い出は、付き合って3ヶ月目のある日。


必死にお願いして、ほぼ無理矢理だったけど、久し振りに陽雄が一緒に帰ってくれたんだ。


ずっと陽雄は不機嫌で、歩くの速くて。
何とか追い付こうと足を懸命に動かしていると。


――――ベチャッ


足もつれて、あたし転んじゃったんだよね。


最悪。


その二文字しか頭に浮かばない。


絶対、陽雄怒ってる。
めんどくせぇ。そう思ってる。


体中に力を入れて、痛みを堪えて、自分なりに早く起き上がったつもり。


恐る恐る顔を上げると、目の前に陽雄は居なかった。