旅行当日。
あたしたちは近くにスキー場のある大きな別荘の前にいた。
「おっき…」
おっきくて、キレイで…
さすがはヒカルんちだなぁ。
ママもパパも特に気にしてないのか、素敵ですねぇ、なんておしゃべりしてる。
一番気にしてないのはヒカルだ。スタスタ別荘の中に歩いていく。
そんなヒカルを慌てて追いかける。
「待ってよ、ヒカル!」
ヒカルは、ほんとに歩くのが早い…。
「お前スキー?スノボ?」
「スノボ。スキーできない」
「へー、意外だな。お前そこそこ運動神経いいのに」
「そこそこは余計だもん」
「ハハッ」
「…ちなみになんだけど」
「あ?」
「その…、スノボも…」
「…」
「こう…ガーっと。真っ直ぐにしか滑れない、っていうか。曲がれない、っていうか…」
「…」
「…」