結局、その日は頭が晴れない状態で一日を過ごしていった。



「浮かれるのも結構! だけど、明日が実力テストということ忘れるなよ? ちなみに一教科でも赤点とった者は一ヶ月間、放課後の課外授業が毎日になるからな」



帰りのHRでは、毎日課外授業だなんて聞いてもいなかったことに教室中から大ブーイング。

素知らぬ顔をしてさっさと教室を出て行く内田先生。


明日は実力テストか。

放課後毎日は困る。

その前に、私は赤点とる気なんてさらさらない。

だから、ハル君のことを考えてる余裕なんかないんだ。

バイトをする為の二つ目の条件。



「テストで毎回学年20番以内に入ることかぁ。ま、紗夜香なら余裕でしょ?」



そう。常に成績を上位でキープしてないといけないと言うことだった。

土曜の夜から暇さえ見つければ中学の復習をしていたから、おかげで今朝は寝不足。



「香里奈ほどじゃないけど。上位に入る自信はある」



いつもの電車に二人で飛び乗り、朝の話の続きが始まった。

課外授業のない日の電車は比較的人が少なく、丁度空いていた二人がけの座席に腰をかけ、背もたれに体を預けて足を組む。

肩肘を膝の上に乗せ、視線を窓の外に移した。