「親は反対しなかったの?」

「ハハッ。かなり反対されたよ」



土曜の夜の言い合いを思い出して、一日はまだ始まったばかりだと言うのにドッと疲れが出る。


あの日。

私がしたいと言ってもダメの一点張り。

携帯なら買ってあげるから、と両親は言ってくれたんだ。



「しようって思ったら急に興味が湧いてきてね。携帯を持ちたいっていうのもあったけど、したいって思うようになっちゃって」



ダメと言われても食い下がれなくて、しつこくお願いしていた。

その時は自分でも何でこんなに熱心にお願いしているのか分からなくなっていたけれど、一度言いだしたら引くに引けなくなって。

お互いに平行線を辿るまま一時間が経過した時。

頑なに反対していた両親が私に聞いてきた。


何で、バイトをしたいのかって。



「で、いろいろと嘘をつきながら言葉を並べ上げたら納得してくれてね」

「ふーん、そっか。ま、親も許してくれてよかったね」

「うん」



なんて嘘。

本当は違うんだ。


親に聞かれて何でそこまでバイトにこだわるのか、改めて冷静になって考えてみた。

そして、気付いた。


みんなが羨ましかったんだ。

夢を持つみんなが。