事の発端は、帰り道での颯平の一言だった。
「紗夜香は携帯買わないの?」って。
今まで毎日当たり前のように会っていたから、私が携帯を持っていなくてもそんなに不便だと感じなかった。
だけど中学を卒業してからというもの、私から連絡することが主になっていた。
休みの間は颯平もたまに家に電話をかけてくれていたけれど、私がいないこともしばしばで。
さらに高校に入学してからというもの、私自身も新しい生活に慣れることに必死で連絡することをすっかり忘れてた。
颯平は颯平で高校でもサッカーを続けるらしく、早速部活に入っていた。
そう言えば優美が颯平に聞いてって言ってたのは、このことだったらしい。
部活で帰りが遅い颯平は私の家にはかけづらいらしい。
まぁその気持ちは分かる。
夜遅くにかけるなんて常識ない人って思われるのがオチだ。
「中々会えないし連絡とれないし、寂しいな……って思って。って、俺何言ってんだろ」
なんて言いながらそっぽを向いて照れる颯平を見ていたら、携帯買おうかなぁって気になってきた。
そして、その夜早速行動を起こしたんだ。