楽しい時間なんてあっと言う間。
ましてや平日と比べて短い週末は、何をして過ごしていたのかと思うほど瞬く間に過ぎていった。
いつもの日常が訪れる。
朝の課外授業が終わりHRまでの束の間の休息を、私は何度も欠伸をしながら机に寝そべっていた。
「紗夜香ー、その顔ひどいよ」
「んー、だって眠いし……ふわぁぁぁ」
前の席の香里奈が、私の机に肩肘ついて見下ろしてきた。
私は目を擦りながら溜まった涙を拭い、顔を見上げてゆっくり体を起こす。
「寝不足?」
「うん、いろいろと忙しくてね」
両手を思いっきり上げて背伸びをする。
それでも眠いものは眠くて、目蓋が勝手に落ちてくる。
あー、眠い。
校舎の二階。
窓側の特等席は朝日がやけに眩しく私を照らし、ポカポカ陽気が眠気を誘ってくる。
このままだと一限の授業中でさえ眠りにつきそうな勢いだ。
一番後ろの席だったら先生に見つからずに居眠りすることも可能かと思うけど、前から二番目のこの席は微妙。
「ん? 私の顔何かついてる?」
口角を上げてぱっちりとした大きな目を細めて、じっと私を見つめる視線に気付いて声をかけた。
すると、香里奈は待ってたと言わんばかりに、
「さては、彼氏とやりまくったね?」
楽しそうに顔を近づけて、ほんの少し首を傾げた。