「聞いてた?」

「……えっと、高校がどうとか……こう……とか?」



だんだんとボリュームの下がる声に、優美が過剰なぐらい大きく息を吐いて肩を落とした。

逆に颯平は肩を揺らして笑ってるし。



「だから、颯平が高校でも」



そこまで言っておきながら、優美は颯平の顔を見て口をつぐんだ。



「何なの?」

「んー、続きは本人から聞いて。って言うか、紗夜香は一人で何物思いにふけってたのよ?」

「いや、私はただ……。こうして地元の友達と会ってると、まだ中学生の気分になるなぁって思ってただけだよ」



そんな私の言葉に賛同した二人は相づちを打った。

ついこの間まで同じ空間で過ごしてきた私たちにとって、今一緒にいることが当たり前のように思える。

それは二人も同じみたいで、何だか嬉しくなる。



「ちょっと優美! それ俺のポテト!」

「いいじゃん。ポテトの一本や二本ぐらいさ〜」

「じゃあ私もいただき」

「あーっ、紗夜香まで……。俺、成長期なのに」



ドッと笑いが起こる。

こんな何気ないやりとりが日常だったちょっと前。

離れ離れの高校に行ったって、その形は変わらないのかなぁって。


いつまでも同じ関係でいられるといいな。

そう思っていると、バッチリ優美と目が合った。

そして「あっ」と前置きした優美は、ここに颯平がいることを忘れて、つい口を滑らせてしまったんだ。