一つのテーブルに、
私と優美と……颯平。
優美から見せてもらった携帯のディスプレイには、颯平からの返信メールがあった。
『もうすぐつく』
って短い文章だったけど。
そして今、私の席の隣に颯平が座っている。
「俺何か買ってくる」
荷物を置いたまま財布だけ持ってカウンターに並ぶ姿を確認した私は、慌てて優美に小声で問い掛ける。
「どういうこと!?」
「だって、最近会うどころか連絡さえとってないんでしょ?」
「そうだけど」
「折角の週末だし、こっそり呼んじゃった」
舌を出して悪戯っぽく笑う優美に体からドッと力が抜ける。
予想もしていなかった展開に、会えて嬉しいって気持ちさえどこかに置き忘れていた。
「だから携帯気にしてたの?」
「そうそう! さっきの話聞かれたらやばいと思って」
確かにと頷きはするものの、そういう問題じゃない。
あんな話をした後で、どんな顔して颯平と会えばいいの?
いや、もう既に会っているんだけどさ。
勝手な行動を起こした微笑みを浮かべる優美に、文句の一つぐらい言おうとした。
会えたことは嬉しいけれど、それとこれとは話が別。
せめて一言、言ってくれていればと。