「だから、私は気になってなんかないってば」
こうやって焦って否定する辺りが怪しいって分かっていながらも、どうしても言わずにはいられなかった。
それこそ颯平に対して申し訳ない気持ちが優先する。
ナンパ男についていきそうになって、挙げ句の果てには助けてくれたハル君が気になる?
つまり、気になっていることを既に認めてはいる。
だけどそれは“恋”とかではない感情。
そう思いたいんだ。
「まぁ落ち着いて」
優美がポテトを差し出してきて、それを受け取って口の中に放り込む。
一気にまとめて三本も食べたものだから、口の中がパサパサしていて中々飲み込めず。
そんな私をよそに、優美が一人で話し始めた。
「浮気とか二股とか、そういうことは許せないけれど。あっ、だからナンパ男についていくのも駄目ね?
だけど、彼氏がいても誰かが気になるってのは有りだと思う。
だって世の中に男は彼氏一人だけなわけじゃないんだし。素敵な人ってたくさんいるじゃん。人生もまだまだこれからだし?
そんな中で誰かが気になることは当たり前の感情だと思うな〜。思うだけなら何も問題ないよ。
……颯平にばれなければね?」
真剣に語る優美は、最後のところだけ苦笑していた。
確かにばれたらやばい。
いい気もしないはず。
私が逆の立場でも絶対そう思うだろうし。