「フフッ。大人っぽいんだか、子どもっぽいんだか」
「返す言葉もないし」
いくら初体験の年齢が低年齢化している世の中とは言え、実際中学の時に経験している人はごく少数だったりする。
私が知る限りではクラスに三人だけだった。
そのうちの一人が優美。
経験したからって対して何も変わらないとは言うけれど、私からすれば確実に大人に近づいたように思える。
だからと言って、
「ナンパ男にはついていかないようにね? 初めては好きな人としなくちゃ」
「そうだよね」
私もそう思っている。
初めてをあんな形で無理やり捨てたくない。
だからこそ、先日の自分の行動はありえない。
あそこでハル君が来なかったらって考えると、血の気がひいてしまう。
「ハル君、だっけ? その助けてくれた彼」
「えっ!? あ、うっ、うん」
おかしい。
どうして?
胸が急にドキドキと激しく高鳴り、体の奥底から熱くなってくる。
優美から思いがけずハル君の名前が出てきたから?
どうしようもなく熱くなっていく顔を両手で覆い隠す。
きっと真っ赤になっているに違いないから。