「それよりもねー」

「う、うん」



ポテトを掴んだまま手を止めて、今度は真剣な面持ちになるから、私は生唾をゴクリと飲み込む。

何を言われるのかと手に汗握って冷や汗をかく。



「心配なんだよね」

「心配?」



ドキドキとしていた心臓は急速に落ち着きを取り戻していく。

私が心配って?



「紗夜香って頭はいいんだけど、そういうとこ危なっかしいし。取り返しのつかないことにならなくてよかったなぁって思ったんだよ」



それはつまり、さっきは私の身を心配してあんな雰囲気になったってこと?



「ナンパ男なんて、結局そういうことが目的でしょ。紗夜香さ、颯平とだってまだ、でしょ?」



スルリと手から抜け落ちたポテトが、いい音を立ててトレーの上に落ちた。

目が飛び出しそうなほど見開き、



「な……な……」



何言っているの?
って言いたいのにうまく舌が回らず。

面と向かってやったとかやっていないとか、そういう類の話は恥ずかしい。

まだまだ男に免疫が少ないからなのか、この手の話題は若干抵抗有り。

火照りだす顔を止めようがなかった。