残っていた水を一気に流し込む。
夢を語る優美も香里奈も私の前を進んで、確実に先に大人へと近づいている。
私は?
N高に行きたかったのも、公立で一番レベルが高かったから。
瑞沢学園も私立で一番レベルが高かったから受けただけ。
それだけ……。
さらには大学も何の目標もなく、無難に国立だなんて考えているくらいだし。
何だか自分がちっぽけで空っぽのような存在に思えて仕方がない。
「あっ、そうだ。私、紗夜香に会ったら聞きたいことがあったんだよね」
「えっ、何?」
私の雰囲気を察したのか、話題を変えてくれた優美。
そのことに感謝しながら問いかける。
これ以上夢の話をしていても、自分がすごく惨めになっていきそうだったから。
「何となくね」と前置きをして、頬杖をついて顔色を伺うように覗き込んで微笑む。
「合格発表の後、何かあったのかなって。電話の声、確かに元気はなかったけど、あまり落ち込んでいないような気がしたんだよね?」
途端にハル君の顔が浮かび上がり、鮮明に出来事が思い出される。
「何々〜その反応は〜!」
「何でもないって!」
「い〜や、怪しいなぁ。白状しなよ」
自分がどれだけ分かりやすい反応したのか分からない。
だけど、目の前で目を輝かせて私を見つめる優美に、隠し通せないと悟り、
「……分かった。白状する」
ハル君との出来事を話すことにした。