合格者は今から中学校に戻って、合格後の流れについての説明会。
本当だったら向かうはずの中学校とは反対方向に、俯きながら歩いていく。
我慢している涙が歩く振動で零れ落ちそうになり、スクールバッグの中に入れているハンカチを探した。
「あ、これ……」
先に目に止まったのは、遊園地のフリーパスだった。
みんなでこの後遊びに行こうって言ってたんだっけ。
事前に親に買ってもらっていたこの券。
この後、高校に合格したみんなと会うなんて冗談じゃない。
ジッと眺める。
私はその後、ただ無心で歩いて電車に乗っていた。
気付けば遊園地の前。
エントランスを通り、一際賑わう園内を歩き出す。
周りの楽しそうな声が風のように耳をすり抜ける。
視界に映る楽しそうな人影も何だか別世界のようで、私は意味もなくフラフラと歩いていた。