今まで生きてきた中で、こんなにつらかったことなんて初めてかもしれない。


――なんて、今考えればそんなことで何もかも終わったみたいに思って、バカだよなーって。

だけど……、その時の私にとっては、味わったことのない屈辱的なことだったんだ。



「紗夜香……」

「ごめん、私、先帰るね」



穂積 紗夜香、十五歳。

合格確実だと言われていた高校に落ち、人生初めての挫折を味わった瞬間。

何もかもが嫌になった瞬間。


今にも溢れだしそうな涙を堪え、人で溢れ返る高校の掲示板前を後にする。

あると信じて疑わなかった番号。

見間違いかと、何度も何度も確認した。

成績は常に学年トップ10。

部活だってバレーで県大会まで勝ち進んだ。


何でもそれなりに器用にやってきたのに。

私より成績のよくなかった人たちが受かっているのに。


何で、何で……。

私が落ちないといけないの?


どうして――……?