「きゃっ!!」
「やーっと起きた」
目の前にハル君の顔があって、意地悪げに微笑んでいた。
「あっ、ごめん……私寝てたみたい」
「ったく、男の部屋で無防備に寝るなよ……ゴホッ」
「って、先生熱は? 起きててきつくないの?」
病人差し置いて寝てしまうなんて、私のバカッ!!
あー、これじゃあ本当に頼りになんてできる訳ないよね。
なんて落ち込んで肩を落とす。
「昼よりは楽になったから。紗夜香、今日はありがとな」
それもたった一言で元気を取り戻すげんきんな私。
確かにハル君の額はさっきよりも熱くなくて、真っ赤だった顔も落ち着きを取り戻している。
咳は出ているものの、その回数は減っていた。
「よかったー……」
今度は肩の力が抜けた。
ひどく不安だった心が落ち着きを取り戻していく。
「紗夜香が看病してくれたおかげだよ。それに、薬も効いたのかな?」
「病院行けばもっと早く治ると思うのに」
「ハハッ……」
笑って誤魔化すハル君を見ながら、私の中に芽生えた小さな変化に気付く。
きっと、きっかけは些細なこと。
恋も……
そして夢さえも。
私はハル君に教えられた。