机の上に積み重ねられた教科書に参考書。
何度も復習を重ねたボロボロのノートに、インクの少なくなったボールペン。
受験が終わってもなお落ち着かなくて勉強していた様は、今朝家を出た時のまま。
「はぁ……」
それらを横目に見ながら所定の位置にスクールバッグを置き、制服を脱ぎ捨て私服に着替える。
今日で本当に、この制服ともお別れ。
白のカッターシャツに紺のプリーツスカートって特別可愛いわけでもないけれど、なぜか愛着は湧いているし、もう着ることがないと思うと寂しくなる。
そんな風に感慨深くなれるのも客観的に見れるのも、彼と過ごした時間のおかげかもしれない。
“どうして?”
“何で?”
って、今までの私だったら、今もなお悲観的になっていたっておかしくないんだから。
だからと言ってすべて拭い去れるわけはない。
「もしもし優美? うん、ごめん。私行けないからみんなによろしく……えっ? 大丈夫だよ、ありがと」
居間に移動した私はカーペットの上に寝転がって、電話の子機を片手に一緒に遊園地に行くはずだった優美の携帯に電話をした。
さすがにまだ、みんなと楽しく遊ぶ気にはなれなかったから。