残りのアイスを一口で口に頬張り、冷たさに頭が痛くなりながらも、息を吐いて空を見上げた。
「優美も言うようになったね」
「紗夜香のおかげでね」
隣から聞こえる笑い声に、もう一度ため息をつきたくなった。
頭の中にその単語が貼りつく。
偽善……か。
「颯平が、って言ってるけど、それって紗夜香が自分を正当化したいだけじゃない? ほらっ、悲劇のヒロインみたいなさ〜。
私、悪いことしたから幸せになったらいけないんです。可哀想でしょ? って感じ?」
「そんなことっ!!」
「ない?」
「……ある、かも」
結局私は変わっていなくて、自分が可愛いからって人のせいにしたりして。
「きっと、周りの目を気にしているんだと思う。それに、ハル君にふられるのが怖いから……今のままがいいって思っちゃうんだろうね」
「でも、いなくなるんでしょ?」
「うん……」
「そしたら紗夜香とハル君を繋ぐものも無くなっちゃうじゃん!!」
ぐいっと体を近づけ凝視する優美。
その様子があまりに真剣で、まるで自分のことのように力説するから、
「ありがとね」
私はつい笑みを零していた。