週末出かけようって言っていた颯平は、自ら私との関係を終わらせるつもりだったのかもしれない。

だから最後に思い出をと。

なのに私は、それさえ奪ったんだね。



「今日、家に呼んでごめん。外はさ……周りに人いるし、話しにくいかなって」



一瞬でも変なことを疑ってしまった自分が情けない。

颯平はいつでも私のことを考えてくれていたのに。

何も……、何も見えていなかった。

それは今も変わらない。


私は颯平のそんな想いに気づくことさえなかったし、気づこうともしていなかった。

気づいていれば、こんな結末は訪れなかったのかな。

……ううん。

きっと同じだった。


どうして人は恋をするのだろう。

恋さえしなければ、こんなことで傷つけたり傷ついたりしないのに。

だけど、理屈じゃないのが恋だから。


だから、恋をしてしまうんだ。



「俺は、紗夜香と付き合ったこと後悔していないから」

「私もだよ……颯、平……」



最後の最後まで優しくて、気遣ってくれて。

そんな人が初めての彼氏でよかったって、本気でそう思う。


もう顔はぐちゃぐちゃで、泣きすぎて頭痛までしてきた。

未だ離れない体から伝わる颯平の鼓動が、熱が、私の心に伝わる。