「図星、なんだな……」



ため息混じりの声。

小刻みに震える体。



「そ……へい……」



体を離して向かい合おうとしたけれど、再びきつく抱き締められた体が動かせない。



「瀬菜にはあんなこと言ったけど、もう無理なんだって覚悟してたんだ。潮時かなって。
……少しぐらいは期待してたけどさ」



苦笑する颯平の声が届く。

やっぱり、颯平は気付いていたんだ……。


今日、どんな顔してた?

それさえ思い出せない自分が嫌になる。



「最後ぐらい楽しい思い出作って別れたかったのに。紗夜香が珍しく誘ってくれたから……断れなかったじゃん」



そして、続けられた言葉に衝撃を受けた。


涙が、溢れだす。

颯平の肩に落ちていく雫が服を濡らしていく。


言葉にならない。

何も言えない。



「ごめんな、紗夜香……」



何でみんなそんなに優しいのだろう。

悪いのは私なのに。

謝るべきは私なのに。


溢れる涙で視界はぼやけて、荒くなった呼吸で必死に息をしながら言葉を探す。



「ごめ……ごめ、ん……そ……へい……」



抱き締めていた手が、そのまま私の背中を擦る。

本当に泣きたいのは颯平のはずなのに。

私は握られていない方の手で、ギュッと颯平の服を握り締めた。