やけに眩しい朝日に照らされて、充血した目を鏡で確認して苦笑する。
颯平は今テスト期間だし、本当なら今するべき話じゃないって思ったりもしたけれど。
それでも、この状態が颯平にとっても私にとってもいいものじゃないと、そう思ってしまったから行動せずにはいられなくなった。
昨晩、優美と別れて直ぐに颯平に連絡を入れた。
珍しい着信に驚いたと声を弾ませて話す颯平に罪悪感を抱きつつも、テスト期間は部活が休みだからこの機会を逃せないと。
会う約束をしたんだ。
バイトのシフトが十二時から七時までだから、会えるのは午前中。
夜もほとんど眠れなくて、寝不足気味の目を擦りながら、
「行かないと」
自分に言い聞かせて、気持ちを奮い立たせて家を出る。
蝉の鳴き声の代わりに、小鳥のさえずりが聞こえる。
朝日が明るく町を照らし、爽やかな風が吹く。
私の心情とは正反対の情景が、少しだけ心の乱れを整える。
大きく息を吸って、吐いて。
逃げ出したくなる衝動を押さえ込み、一歩一歩意識して踏み出す。
あっという間についた颯平の家。
震える指に中々力が入らない。
それは今まで経験した中でも、一番緊張していた瞬間だったに違いない。