包み隠さず全ての感情を露にした。

ハル君への想い。

颯平への想い。

そして、それに伴って起こした優美への言動。


日はいつの間にか暮れていた。

あれだけいた子どもたちもすっかり影も形も消えていて、公園の中には私と優美の二人だけ。

外灯が明るく地面を照らす。



「そっか……」

「うん」



全てを話し終わった時には、気まずい沈黙が流れていた。

やっぱり引かれたかな。

軽蔑したかな。

颯平と付き合っているのに、どうしようもなくハル君に惹かれていることを。

そして、今から私がとろうとしている行動を。



「いいんじゃない? 想いのままに突き進めば」



笑顔を向けてくれる優美に思わず安堵する。



「颯平のこと想うなら、そうしてあげるべきだよ。紗夜香って不器用だからさ、そんな簡単に上手く気持ちの切り替えできないって。
それって、この先も颯平のこと縛って苦しめるだけだと思うよ」



不器用、か。

本当にそうだと最近気づいた。

颯平のことそう思っていたのに、実は一番不器用だったのは自分だった。

周りは私のことを結構分かってくれているのに、私は周りがよく見えていなくて思い違いをしていて。

それで、どれだけ人を傷つけていたのか分からない。



「紗夜香もつらいだろうけど、颯平もつらいだろうから。だから、頑張って行っておいで!! その後、必要ならいつでも呼び出してくれていいからね?」

「ありがとう、優美」



それでも傍にいてくれる友達がいる。

それでも助けてくれる人がいる。


人の優しさはとても甘くて、だけど、一歩間違えれば偽善というとても苦いものになる。

私が与えているものがそれであると言うのなら……。



「颯平と話してくるね」



私の決意に無言で頷く優美。

ギュッと拳を握り締め、唇を噛み締めた。