勇気を振り絞ってみれば、案外簡単なことで。

だけど、それができないから人は悩み迷う。

私が子どもだから、じゃなくて……きっと、年を重ねて大人になっても、同じことをしてしまうんじゃないか。

漠然とそう思った。



「ありがと……優美〜っ。大好きだよ……」



それでもその時は、この日を思い出して、行動できるんじゃないかな。

人は年を重ねて成長するわけじゃなくて、経験を積んで成長していく。



「へへっ。私も大好きだよ、紗夜香のこと」



あの時こんなことがあったけど、それを乗り越えられたから。

それがこれから先の、私の力に原動力になる。


いつかね、この日のこと笑い合えるといいな。



「さて、紗夜香。白状してもらおうか?」

「えっ、何突然!?」



今までの雰囲気はどこへやら。

不敵な笑みを浮かべて腕を組む優美。



「ハル君のこと、話してもらおうか?」

「あ、あの……言いたくないことは、言わなくていいんじゃ」

「それとこれとは話が別!! 散々私のこと苛めた罰だよ」

「うーっ、分かった……」



そう言われると断れなくて、渋々了承する。

何が嫌かって、こんな想いを晒して優美に嫌われないかってことで。



「アハハッ。ごめんごめん。ちょっと意地悪しちゃった」

「え?」

「言いたくないならいいよ、その代わり紗夜香が助けを求めたら、いつでも駆けつけるから」



帰ろっかと言って、公園の出口へ向かいだす優美。



「待ってっ!!」



つい、呼び止めてしまった。

振り返り首を傾げる優美。


聞いて欲しくないけど、やっぱり聞いて欲しい。

それに……。

優美なら、こんなことを言ってくれる優美だから。



「話、聞いてくれる?」



どんな反応されても話しておきたいと思った。