私がたくさん悩んでつらい日々を送っている時、同じように優美も過ごしていたのだろう。

自分だけじゃない。

例え笑顔でいたとしても、誰だって何かを抱えているんだ。

傷つけたほうも傷つけられたほうも、心を傷めたのは同じだね。



「ごめんね、優美……」



立ち上がり、まっすぐに優美を捉える。

何度言っても言い足りない。

過去は消えないし、謝って許されることじゃないかも知れないけれど。



「もういいってばー。私こそ、一度避けたら今更顔合わせづらくなって、意地になっちゃってごめんね」

「優美は謝らなくていいの、私が悪いんだから!!」

「それ、紗夜香のいいとこだけど悪いとこだよ」

「へっ?」



突然放たれた言葉に、その場にそぐわない間抜けな声を出す。



「だからー、何でもかんでも“私が”っていうところ。私にだって否はあったんだし、謝らせてよ」



フフッと鼻で笑って、首を傾げて「ね?」と同意を求める。



「いつもさ、悩んでいる時とか自分一人で何とかしようとして、頼ってくれないでしょ。それはそれでいいことだと思う。
けどね、紗夜香は一人で抱え込みすぎだし、考えすぎ。もっと人を頼ったっていいんだよ」

「優美……」

「何でも全て話してほしいわけじゃない。だけど、友達だから、喜びも苦しみも共有したいって思うの!
紗夜香が困っている時は助けになりたいし、嬉しい時は手を取り合って喜びたい。分かる?」