相づちを打つだけで、ひたすら歩いていく優美。
まだ、並んで歩く勇気は持てなくて、その後ろをついていく。
見慣れた景色が目に映る。
木々は風に揺れ、蝉の声が煩いぐらいに聞こえる。
子どもたちは楽しそうに遊具で遊んでいて、親が迎えにきて駄々をこねていたりして。
一つ空いていたベンチ。
そこに優美は腰かけた。
「紗夜香も座れば?」
そう、あの時の公園。
優美を傷つけた場所。
少し前のことなのに、随分昔のことのように感じる。
それだけ、毎日が長くてつらい日々だった。
「はい」
隣に座った私に向かって、携帯を差し出す優美。
すぐにはその意味が分からなくて、凝視して頭を悩ませていると、
「赤外線できるでしょ? 紗夜香の教えてよ」
無表情でそう言ってきた。
ハッとして、慌てて携帯を取り出す。
「紗夜香が送信して」
言われるがままにして、携帯を近付けてボタンを押す。
送信完了の文字。
それから数十秒も経たないうちに、一通のメールが届いた。