「二人して電話出ないで、何してんだよ?」
「自分たちが煙草吸ってるから悪いんでしょ〜!!」
そんなやりとりをするハル君の顔を、ジッと眺める。
もし私が思っていたことが勘違いだったら……。
「ん? 紗夜香どうした?」
「へっ? あっ……。ううん、何でもないっ!!」
「紗夜香ちゃん変なの〜。何かやらしー妄想でもしてたの?」
「亘っ!! あんたは一言余計」
バシーンッ!!
望さんの平手打ちが見事にお尻に当たり、悶え苦しむ亘さん。
「懲りないな、亘も」
「っとに、その性格いい加減治したら?」
「またまた〜!! そんな俺が好きなくせに」
呆れてため息をつく二人。
私はただ、ハル君を眺めているだけ。
「行こっ、紗夜香ちゃん」
望さんに声をかけられハッとして、荷物を持って立ち上がる。
二人の背中を追って歩きだす。
亘さんは来なくていいよなんて言われて、すがるように追い掛けてきて。
こんな三人のやりとりが、何だか凄く羨ましかった。
過去にいろいろとあって、だけど今こうして仲良くしていて。
私も優美とこんな風になりたい。
強くそう思った。
そして……。
「紗夜香」
私の名前を呼ぶハル君に、胸がギュッと苦しくなる。
溢れだす想い。
望さんが教えてくれたことが、本当かどうかは分からない。
だけど、そんなこと聞いたら想いは加速するばかり。
ハル君への気持ちが消えない。
消えるわけないんだ。
どうしようもなく、ハル君を想っているんだ――……。