頬が熱くなるのを感じる。

あの可愛らしさの欠けらもない叫び声。

ギャーって何よ、ギャーって。


……そうよ。

そんな叫び声を出したのも元はと言えば、



「あなたが無理矢理乗せたからでしょ。無理って言ったのに!!」



言ってやった……。

何だかすごく体力を使った気分。

無駄に「ハァーハァー」と息が切れる。


勢い余ってスクールバッグを抱きかかえたまま立ち上がってしまったけれど、下から上目遣いで見つめられ、力が抜けるようにベンチに腰を下ろす。

私、一人で何やっているんだか。



「けど、元気は出たでしょ?」



顔をグイッと近付けてきて、悪戯っぽい笑顔を見せる彼。

加速していく胸の鼓動に熱を帯びていく体。


か、かっ、彼は、絶対女慣れしている。

この余裕たっぷりの態度を前に、一人でドギマギしていることが余計に恥ずかしい。

どうすることもできない私を尻目に彼はゆっくりと体勢を戻し、そして小さくため息をついた。



「あんた亘の隣にいる時から辛気臭い顔して、この世の終わりだーみたいな様子で、俺、ちょっとムカついたんだよね。
で、“生きてたって意味ない”だなんて言うから、少しいじめてやりたくなっちゃった」