私は今、サークル会館と呼ばれる建物の真下にあるベンチに腰かけている。
隣には望さんが座っていて、正面にはハル君が腕を組んで立っている。
こうして見ると、改めて年の差を感じる。
以前会った時と何も印象の変わらない望さん。
緩やかに巻かれた明るい髪にナチュラルに施されたメイク。
大人っぽい服装に仕草。
周りを歩く人たちも、化粧とか髪形とかみんなが大人っぽくて、何だか場違いな感じに萎縮してしまう。
「ったく、亘遅いわねー」
「置いていくか」
あの話を聞いて、二人を見る目が何だか変わってしまった。
以前にも増して、心の中がモヤモヤする。
こうして見てもお似合いな二人。
やっぱり、付き合ってた時は……キスとか、やったりとか……したのかな。
そんな妄想まで浮かび上がって、軽く自己嫌悪。
「どうしたの?」
ハッとして慌てて首を横に振る。
近付けられた顔は、女から見ても綺麗な顔立ちで、さらに自己嫌悪。
ズキズキと胸が痛くて、上手く笑えているのかも自信がない。