「久しぶり、紗夜香ちゃん!!」
「お久しぶりです」
「そんなかしこまらなくていいってば」
テストも終わって、後は答案が返ってくるのを待つだけの週末。
私は大学を訪れた。
学校が終わって家に帰って私服に着替え、ハル君が迎えに来てくれて、初めてくぐった大学の門。
目の前にそびえ立つ高くて大きい建物に、遠くまで見渡せる広い校庭。
……って、大学の場合校庭と言うのかな?
ま、いっか。
「私たちの都合で、急に決めちゃってごめんね!」
「いえ、いいんです。今日はバイトも休みで予定が入っていなかったので」
「亘がねー、単位やばいからさ」
七月初旬の土曜。
大学の前期試験が月末にあるらしく、その前に以前から言っていた大学見学をすることになった。
バイトはたまたま休みだったし、N高は今テスト期間で颯平とも会わないし。
「紗夜香ちゃん、テストどうだった?」
「まぁ……それなり、です」
コツンッ――。
ファイルの角で頭を小突かれた望さんは、
「あんま紗夜香困らせんなよ」
「はいはい」
ペロッと舌を出して、陽気に笑った。