信じられない。

あれだけ脳裏に焼き付いていた現実が、いつの間にか擦りかえられていること。

気付いたら心が少し軽くなっていて、元気を取り戻していること。


自分がよく分からない。

私ってこんなに気持ちの切り替え早かったっけ?


何だか彼に見られていると自分さえ気付かないような気持ちを見透かされそうで、私はパッと正面に向き直す。

右前方には彼に連れて行かれたジェットコースター。

ありえないぐらいの大声で叫んで、頭は真っ白になって足はふらついて。



「ブッ」



突如隣で吹き出され、私は顔をしかめる。

真面目な顔して発言したかと思えばこの扱い。



「何で、突然笑いだしたんですか!」



失礼な人、本っ当に失礼極まりない人。

無意識に視線は彼に戻していて、頬を膨らませたいのを我慢して詰め寄る。

頬を膨らませるなんて、子どもじゃないんだからと思いながら。



「ハハッ、ごめん、ごめんっ。さっきの叫び声思い出しちゃって」