涙が勝手に流れ落ちる。

淡々と話しを進めるハル君に私の心が追いつかない。

次々と語られる三人の関係。


好きな人が他の人を想っているという現実を直接その人の口から聞いて、どれだけ想っているのか思い知らされて、それでも……傍にいたいと思う。

一緒にいれる期間があと少しでも、その後会えなくなったとしても。

今、一緒にいれるだけハル君と過ごしたい。


それぐらい、いつの間にか大きくなってしまったんだ。

ハル君への想いが、ハル君という存在が。


この気持ちを断ち切るなんてできない。


溢れ出す涙が……

この胸の痛みが……

それを物語っている。



「早く大人になりたいって思った。そうしたら、こんなことで悩むこともなくなるのかなって」



私が今思うように、ハル君も同じように思っていたことがあった。

こっそりと涙を拭いながら真剣に耳を傾ける。

そう思っていたハル君が、今、どう思っているのか。

導き出された答えが何なのか。

緊張に胸を高鳴らせる。



「……けど、実際は違ったんだ。あの頃から何も変わっていない。俺はまだ大人になんてなりきれてないし、きっと大人になったって同じように悩むんだと、そう思うようになったんだ」

「どうしてそう思うの……?」



つい口に出した声は鼻声だった。

さすがに泣いていたことがハル君にバレた。

立ち上がって私の前まで来たハル君は、屈んで顔を覗き込んで微笑むと、



「何やってんだか」



って、眩しいぐらいの笑顔を私に見せてくれた。