いつも、いつも。

私の見えないところで、一人苦しんでいたの?

そんな顔をしていたの?

ズキンッと胸が痛む。

制服が汚れることも忘れて、コンクリートの壁にもたれかかった。



「バカ……」



彼女だと言える資格なんてない。

知ろうともしなかった姿が、目に焼き付いて離れない。


颯平もバカだけど、私のほうがもっとバカ。

何で、私を好きでいてくれるの?

何で、私を責めないの?



「分からないよ……颯平……」



そこまで苦しんで、それでもまだ想いを貫くなんて……。


後ろ姿が見えなくなってからも、暫くの間そこから動けなかった。


どんなに苦しくても人は恋をして、傷つきながらも想い続ける。

逃げ出したくなることもあるけれど、そう簡単には想いを断ち切れない。

私の中に、ハル君の存在が消えないように。

頭でするものじゃなくて、心が感じるもの。


忘れる術を、消し去る術を。

私は知らない……。