外に出てみれば日が傾きかけていて、西の空に浮かぶ雲の端はオレンジ色に染まり出している。

生温い風が吹く中、大きく息を吸ってゆっくり吐き出す。



「肩の力を抜いたら、か……」



視線を落とし、伸びる影を踏みながら歩く。

それを少しずつ上げていくと、視界は少しずつ、じわじわと広がりを見せる。


少しは気楽になってもいいんじゃない?って。


木原さんはそう言った。

真面目って何だろう。


そこがいいとこでもあるんだろうねって。


微笑みを見せてくれた。

真面目ってことが私にとってプラスであり、マイナスだとすれば。

言い換えれば、視点を変えれば物事は良くも悪くもなる。


再び顔を上げて、正面に続く駅までの道を眺める。

右折して左折して。

どんなに間違った道でも、いつかはたどり着く。

諦めなければ、たどり着く。


私が知らないことなんて、この世界にはまだ山ほどあって。

自分のことでいっぱいになったら、目の前にあることでさえ見えなくなって。


だけど、挫折も過ちもそれを気づかせてくれる為に通る道だったのだとすれば、それは結果としていい思い出になるのだろう。

どんな結果に未来になるかは、これからの自分の行動次第。


顔を上げて視界を広げてみれば、別れる道。


脳裏に浮かぶ……。

また、笑いあいたい。

いつか笑って語り合える思い出になってほしい。

だから――……。