「うん、一緒にいてそうじゃないって分かったし。だって」



彼の誤解は簡単に解けたみたいで、ホッとして肩の力が抜けたのも束の間。

スルリと伸びてきた指先が私の頬に触れる。

肩が震えたのは一瞬。

後は、硬直する体にありえないくらい速く鳴る胸の鼓動。



「あんた、男慣れしていないみたいだし?」



顔にかかっていた髪を優しく耳にかけて、首を傾げて私の目線に合わせて微笑んだ。

なっ、何されるのかと思ったし。

……心臓に悪すぎる。



「それに何だか素直だしな。だからごめんな、最初の印象で誤解してしまって」



彼と初めて会った時。

そうそう、あの男に肩を抱かれて歩いてて。



「いえ、私も悪かったんです! どうしていいか分からないからって、どうでもよくなったからって。簡単について行ってしまった、から……」



誤解されて当然かもしれない。

ナンパ男についていくような軽い女って思われるのも。

今更ながら自分の行動が恥ずかしくなってきて、落胆の色を隠し切れずに胸が重くなる。


颯平にも悪いことしたな。