駅の改札を抜けてホームへと向かう。

階段を上がればちらほらと人が疎らなでホームで、缶ジュースを買ってベンチに腰掛ける。



「分かるよー、分かりやすいよ紗夜香は。初めは体調悪いからかな、と思ってたんだけどさ」

「ははっ、そっかー」



プルトップに手をかけて、乾ききった喉を炭酸で刺激する。

はぁぁぁっと盛大にため息をつき、反対側のホームを真っすぐに見据えると、その後ろに映える青空が視界に映った。

一点の曇りもなく、澄み渡る空。

まるで、心が洗われるよう。



「けど、さ」

「うん?」

「悩みのない人なんていないだろうし、悩むこと自体は悪くないと思うんだ」



特急列車の通過で激しい音が耳に鳴り響き、その風で髪がなびき乱れる。

あっという間に目の前を通り過ぎた後、ホームは打って変わり静けさに時間が止まったようだった。



「ま、紗夜香もいろいろと大変だねー」

「聞かないの?」

「ん?」



両手でギュッと缶を握り締める。



「何に悩んでいるのかって」



小首を傾げて私を見ていた香里奈は、突然笑いだした。