「紗夜香ーっ、久しぶりー!!」



四日ぶりの学校。

教室に入ると私を心配してくれるクラスメイトに囲まれた。



「もう体調は大丈夫なの?」

「うん、心配してくれてありがとね」



嘘は申し訳ないけれど、誰かに心配してもらえること、それがくすぐったくて……。

自然と笑みが零れ落ちる。



「はい、三日分のノート。テストに重要なとこかなり言ってたから、そこはライン入れてる」

「香里奈……連絡もノートも、本当にありがと」



机の上に置かれたバインダーを開いて、パラパラと捲っていく。

教科ごとにつけられているインデックス。

一目見ただけでも分かるぐらい、綺麗にまとめられている授業の内容。



「さすが、学年一番」

「あーっ!! ちょっと香里奈、私もコピらせて!!」



私が言葉を漏らすのとほぼ同時に、英美が私たちの元へ駆け寄ってきた。

もの欲しそうにノートを見つめていて、何だか可笑しくって香里奈と顔を見合わせて、



「いいよ、今から行っておいで」

「ありがと! 学年一番のノートで勉強すれば、テストも何とかなるかも!!」

「それは自分次第でしょ? HR始まるまでに帰っておいでよ」

「じゃ、お借りしまーすっ!!」



教室を飛び出していく英実を眺めながら、二人で笑った。