嫌だ。

もう、嫌だっ!!

左手で、思いっきり頭を掻きむしる。


グダグダと考える自分が嫌。

ウジウジして行動を起こさない自分が嫌。


勢いよく携帯を折り畳んで、部屋へと駆け込む。

パジャマを脱ぎ捨て、タンスから取り出した服に着替える。

お母さんがパートから帰ってくるまで、まだ、時間はある。


バタンッ――。

久しぶりに家の外に出た。

直射日光に目を細め、顔に滲む汗を拭う。


早足で先へと進んでいると風の音に導かれ、上を見上げればカサカサと音を立てる木々が目に映る。



「私、変われるかな……」



高校の入学式の日。

期待と不安を入り混じらせて眺めた桜の木は、今はその面影をまったく残すことなく、緑の葉を荘厳に揺らしている。

桜の花が散って葉がついて、枯れて……また花が咲いて。


この桜の木のように、私も今の自分から少しでも、変わることできるかな……。