不思議と泣けてきた。

人を傷つけて傷ついた私の心に、温かさが染み込んできたんだ。


本当は何があったのか聞きたいはずの両親が、それでも何も聞かずにいつものように接してくれる。

そんな両親にさえも罪悪感を感じた。

だけど、見守るような愛に、少しだけ心が救われたのも事実。



「今日学校休みたい」



現実逃避さえも、



「分かった。家で大人しくしてるのよ?」



受け入れてくれた。

本当は心配だよね?

それなのに、私の意見を受け入れてくれた。

バイトの時はあれほど反対したっていうのに。

きっと、私の様子を見て心情を察してくれたんだと考えると、また、泣けてきた。


誰もいなくなった家の中、私は自分の部屋に籠って思いっきり泣いた。


颯平を裏切って傷つけたこと。

そのことから優美に後ろめたさを感じ、避けてしまって傷つけたこと。

 
泣くのはずるいって思っていたけれど、涙は枯れることなく溢れ出す。

泣いて、泣いて、泣いて。

そうすると少し……落ち着いた。



「ごちそうさまでした」



食べ終わった食器類を流しに持っていって洗い、今日もまた、そのまま部屋へと戻っていった。