「あっ、紗夜香ー!!」



コンビニの前で大きく手を振って近づいてくる優美と会うのは、颯平と三人で会って以来だから約二ヶ月ぶりだろうか。

少し、変わった気がする。



「あれっ? パーマかけた?」

「うん。学校は禁止だからさ、髪結んでばれないようにしているんだけどね」



ぺロッと舌を出して指で髪を掬い上げ、クルクルッと弄ぶ優美をマジマジと眺める。

肩まである髪は緩やかなパーマがあてられていて、目はつけまつげでパッチリしていて、口元にはグロスが塗られていて。



「綺麗になったね」

「ちょっと。そんな真剣に言われると照れるじゃん!!」



何だか、変わっていく周りについていけない私がいて、ますます気持ちが落ちていく。

夢も恋も、私生活も。

服だって適当で、化粧なんてまったく覚えていなくて、髪の毛も半年に1回のカットのみ。

私は……何も変わらず立ち止まったまま。


歩き出した優美の横をただついていく。

すると、横を向いた優美は、首を傾げて顔を覗き込みながらこう言った。



「ってかさ、紗夜香はすっぴんでも十分綺麗だから、羨ましいしー」



私が、羨ましい?

意外な言葉に目を丸くする。



「ほらっ自覚ないでしょ? 紗夜香ってば昔っから自分に自信がないんだからさ」



呆れたように笑われて、それでもまだ実感が沸かない。

優美は私の望むものを持っているから。


明るい性格も、将来の夢も、恋愛経験も……。