「く、くくくち……いっ、いいです! 遠慮します!!」
刺激の強すぎる発言に慌ててパニック状態。
まず、初対面の人にこんなこと言われるなんて、誰が想像できるだろう。
それに例え彼氏であっても、そんなことできないかもしれないのに。
これが大人の余裕ってやつ?
私、完全に弄ばれている気がする。
顔前で両手をブンブンと振りながら、体はこれ以上後ろに下がれないのにへばりつくようにベンチの背もたれに体を押しあてる。
「冗談だよ、冗談!! さっきのジェットコースターといい、今の反応といい、何か新鮮だし初々しいな」
「あ、あれは、あなたが無理矢理、私の苦手なジェットコースターに乗せるから!!」
そう。
さっき彼が私を引っ張っていった先は、目の前にそびえ立っていた“バンジージャンプ”じゃなくて、その奥にあった“ジェットコースター”だった。
バンジージャンプの搭乗口を通り過ぎた時、何だか急に気が抜けて体の震えも止まった。
そのまま進んでいった先のジェットコースターの搭乗口。
「なぁんだ、ジェットコースターか」なんて思いながら、拒否することもなく促されるように乗っていた。
“バンジージャンプ<ジェットコースター”
多分、咄嗟にこんな公式が頭の中に浮かび上がったんだと思う。
じゃないと、普通の感覚だったら絶対乗るわけがないアトラクションだから。