だけど、やっぱり颯平は颯平で。
「あれっ? えっ、と」
「ちょっと、くすぐったいよ」
もぞもぞと動く指先は不器用に、ブラのホックに弄ばれている。
それがくすぐったくて、私は急に現実に引き戻された。
未だに外そうと一生懸命な颯平と、それをぼんやり見つめる私。
時間が経てば経つほど、何かが引いていく。
今のこの状況が……。
まるで自分に起きていることではないように、他人事のように思えてしまう。
微かに音が聞こえて解放感を感じると、覆いかぶさっている颯平に安堵の表情が浮かび上がり、小さく息を漏らした。
「好きだよ」って囁きもすぐに、肩紐もずれたブラの隙間に埋もれていく。
体は敏感に反応する。
頭が痺れるほどの快感を与えられる。
それでも、何でだろう……。
心が置き去りのように、颯平に応える体とは正反対に、意識は別のところへ行っていた。