「脱いで、紗夜香」
「えっ……でも」
「俺、部屋出てるから。これ」
言われたとおり上も下も脱ぐ。
静かな颯平の部屋に、服が床に落ちる音。
今部屋に戻ってきたら下着姿を見られてしまうと思うと、何だか恥ずかしくて顔が火照ってくる。
颯平、入ってこないよね?
ドキドキしながらも手を伸ばし、少し大きめのジャージに袖を通していく。
手も足もすっぽり隠れて。
ブカブカ……。
「ごめん、颯平」
部屋のドアを開けて顔を出すと、目が合った颯平はそっぽを向いて歩きだした。
「染みが消えなくなる前に洗ったほうがいいよ」
「うん、本当にごめん」
階段を降りて一階の洗面台まで行き、服に盛大にこぼしてしまったミルクティーの染みを洗い流していく。
すぐに洗ったおかげか染みはみるみる消えて、服は元の色を取り戻していた。
よかった。
……けど、よくない。
私の家からコンビニに寄って、そして颯平の家に入って、その間ずっと緊張しっぱなしだった私。
部屋に入って座って、ペットボトルの蓋を開けて……手が滑った。
見事に私の体で受けとめたミルクティーが、服を綺麗に染めてしまったんだ。