カタンッ――。
それは家から出て、バッグの中から鍵を取り出そうとしている時だった。
「あれ? 何か落ち……っ!!」
たぁぁぁぁぁ!!
言葉にならない叫び声。
慌ててそれを拾い上げ、バックの奥底に押し込む。
激しい動悸と荒い息に肩が上下する。
挙動不振に辺りを見渡して、人影がないことにスッと肩の力が抜けた。
「……よかった」
立つ気も起きなくて屈んだまま。
昨日の香里奈の言葉を思い出す。
“――はい、これ。
避妊だけはちゃんとするんだよ。一番傷つくのはいつだって女なんだから。
穴が空いてないか確認して、絶対入れる前につけてもらうんだよ、いいね?”
だからって箱ごとくれるなんて。
見た目は可愛いピンクの花柄なのに、中身はアレだし。
これって女が準備するものなのかな?
やる気満々って思われないかな?
「何してんの?」
と言うか、持っていたところで颯平に渡せるかどうか。
「さーやーか?」
「へっ!? ……そ、そ、颯平!! な、なっ、何でここに?」
肩を叩かれ見上げれば、目の前に颯平が立っていた。