変わっていない。
そんなところが嬉しい。
「颯平? 顔真っ赤だよ」
「ばっ!! そんなわけ」
「う、そ」
「さーやーかーっ!!」
「きゃ!! そうへ……っん」
声は消される。
再び塞がれた口から伝わる熱に溶けていく体。
多分ね、こうして求められることも、変わらない颯平と過ごす時間も嫌じゃない。
一緒にいて楽しいのは、以前と何も変わってない。
だから、例え罪悪感を抱いていようとも、颯平を選んだことは間違いじゃなかったのかなって。
最近そんな風に思い始めていた。
団地へと続く路地裏で、バイト帰りの僅かな時間をこうして過ごした後。
二人で手を繋いで歩きだす。
キスの後は妙に照れ臭くて、どちらからともなく照れ笑いを浮かべる。
「颯平、好きだよ」
まるで呪文のように。
颯平がこの手を離さない限り、私も掴んでいたいと思う。
好き、だから――。
そう。その気持ちは変わっていないから。