夢から覚めて一気に現実に引き戻される。
そんな言い方はとてもひどいものだけど、それでもそう感じてしまう私は最低だ。
「出ておいで?」
ハル君に頭を下げて、鳴り止まないうちに部屋を出て携帯に出る。
『あ、もしもし紗夜香?』
「うん、どうしたの?」
嬉しいはずの電話なのに、嬉しくないといけないのに。
『部活が急に休みになったから、今から会えないかなって思って』
「あ、今からはちょっと」
言葉を濁しつつ話を終えて携帯を閉じた。
部屋に戻りながら小さくため息を漏らし、そんな私を見逃さなかったハル君はすかさず声をかけてきた。
「彼氏から?」
「うん、今から会えないかって」
どうしてこうも言わなくていいことまで言ってしまうのだろう。
「それなら今日はこれで終わろうか? 一回分の時間はした訳だし、紗夜香のお母さんには秘密にしといてやるよ」
肩をポンッと叩いて片付けを始めたハル君に何も言うことが出来ない。
本当はまだ止めたくないって、そんなこと言える訳もなくて。
ズキズキと心が痛む。
「どうした?」
「ううん、何でもない」
私、颯平といるより……、
「あ、気にすることないからな。この前のこともあるし彼氏優先しな」
「ありがと……」
ハル君といたいって思ってる。