何もかも見透かすような視線で私を捉え、その口元に笑みを零す。
ハル君ってたまに意地悪だ。
私、弄ばれている気がする。
ちょっと不貞腐れ気味に唇を尖らせて視線を床に逸らした。
今まともに顔なんて見れるわけがないから。
すると、私の頭が温かなものに包まれたかと思うと、髪をすくう様に優しく撫でられた。
ゆっくり視線を戻してみると目尻を細めて私を見つめるハル君がいて、不覚にも一瞬の隙をつかれてその笑顔に胸の鼓動が高鳴った。
「何か放っておけないんだよな」
「えっ?」
「さっきの答え、何でそこまでしてくれるのかってやつ」
頭をよしよしと撫でながら子首を傾げる。
垂れた前髪が目にかかり、そこから垣間見えるその微笑みはとても温かくて、
「特別なんだよな」
ハル君が呟いた言葉に心臓が跳ね上がった。
体の奥底から疼くこの感覚を、私は知らない。
「それって」
言葉が上ずらないように、一字ずつ確認するように発し、
「紗夜香みたいに手のかかる生徒は初めてだよ」
「あっ、そう……」
体の力は急激に抜けてへなへなになってしまった。