久しぶりに訪れた颯平の家で出迎えてくれたのは颯平のお母さんで、肝心の颯平はまだ家に帰っていなかった。

挨拶だけを済ませて後にする。


家にもいないし携帯に電話しても出ない。

一瞬、番号さえまだ教えていないけど、優美に電話して颯平と連絡をとってもらおうかという考えが頭をよぎった。

けれど、それも止めた。


これは私と颯平の問題だから。

今、私が頑張らなくて、見つけなくてどうするんだって。

そうやって気持ちを奮い立たせても、会いたい時に会えないもどかしさや、電話を拒否される悲しさの感情に呑み込まれてしまいそうになる。


そして、ようやく気付いた。

同じ思いを颯平にもさせていたことを。



「私って本当に最低」



自分の身に振りかかって初めて、その気持ちが分かるだなんて。

何だか肩の力も抜け、走ることを止めて当てもなく歩き出した。


一度暮れだした日が落ちるのはあっという間で、夜空には雲がかかりながらも光り輝く月が顔を出し、その周りに散らばる無数の星が目に映った。



「綺麗……」



吸い込まれそうな夜空を見上げ思わず呟く。

そうして光に誘われながら道を歩いていると、公園の前にたどり着いた。


そう。

颯平との思い出が詰まった公園の前に。

揺れるブランコの音に目を向けて……そして、見つけた。



「そ、颯平っ!!」